第18回 岡山県病児保育協議会研修会報告

 令和4年11月27日(日)に「第18回 岡山県病児保育協議会研修会」を、新型コロナウイルス感染症、感染拡大防止の対策として、会場開催及びWeb配信を行うハイブリット形式で開催いたしましたので報告させていただきます。

要綱

日時

 令和4年11月27日(日) 13:30より

会場

 地域医療人材育成センターおかやま(MUSCAT CUBE)

主催

 岡山県病児保育協議会

共催

 岡山大学病院ダイバーシティ推進センター

講演内容

基調講演:医療的ケア児及びその家族に対する支援

講師:齋藤 秀哉氏 (岡山県 保健福祉部 障害福祉課 総括参事 (障害福祉サービス))

 基調講演では医療的ケア児及びその家族に対する支援についてお話をして頂きました。
 医療的ケア児とは、日常生活及び社会生活を営むために恒常的に医療的ケア(人口呼吸器による呼吸管理、喀痰吸引その他の医療行為)を受けることが不可欠である児童の事をいいます。医療的ケア児はここ10年間で2倍以上に増加し、2万人を超えており、24時間に渡って医療的ケアが必要であることが多く、保護者の学校への送迎、付き添い等を必要とし仕事を辞めざるをえない状況があります。その為、様々な機関の人が連携して支えていくことが重要であり、障害といっても障害のカテゴ類に入らないケースも多く、制度が出来るまでは、医療・福祉・教育が追いついていない現状もありました。それらのことを踏まえ、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が作成され、立法の目的として医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職の防止に資することが柱となっています。
 基本理念として医療的ケア児が医療的ケア児でない児童等と共に教育を受けられるように最大限に配慮しつつ適切に行われる教育に係る支援や医療的ケア児と保護者の意思を最大限に尊重した施策等があります。基本理念を受けて国・地方公共団体の責務として、保育所・学校等や日常生活における支援、相談体制の整備、支援を行う人の人材の確保があり保育所・学校等の責務では、看護師又は喀痰吸引等が可能な保育士の配置の措置がされています。また、医療的ケア児を抱える保護者はどこに相談したら良いか分からないということから医療的ケア児支援センターが開設され、相談先が明確化し専門の職員が総合的に対応しています。医療的ケア児支援センターの役割として①家族と相談、助言を通し地域の活用可能な資源の紹介等を行う。②市町村等と連携し、医療的ケア児等支援者養成研修を実施、センターや地域の医療的ケア児等コーディネーターの仲介等により医療的ケア児に係る支援にあたっての協力関係の構築を図る。③サービス等の利用計画の作成、就労支援、障害に合った医療・福祉・教育について相談など主に行っているとのことでした。
  このように様々な機関が連携し、障害に合った支援を行っていることを多くの人にも周知してもらいたいとのことです。  

特別講演:女性医療従事者の子育てと仕事の両立について
     ダイバーシティ推進センターから見えてくるもの

講師:片岡 仁美氏 (岡山大学病院ダイバーシティ推進センター センター長 医師 岡山県病児保育協議会 理事)

 特別講演では、女性医療従事者の現状や岡山大学病院(ダイバーシティ推進センター)での取り組みを中心にお話を伺いました。
 全ての働く親にとって「子どもの病気」は避けて通れない出来事であり、病児保育は医療・保育・家庭の接点となる重要な取り組みとなっています。岡山大学病院でも平成21年10月に国立大学系としては5番目の速さで岡山大学病院ますかっと病児保育ルームが設立され、病児保育が「子育てと仕事の両立」が重要な役割であると考え取り組まれています。また女性医療人の現状と働き方改革についてもお伺いしました。
 女性医療人の現状と働き方改革では、女性医師の割合は増加傾向だが、医師全体の3割も超えておらず、2004年頃から医師不足を背景に女性医師・看護師の離職防止・復職支援が一層注目されるようになりました。
 若年層で特に長時間労働が著しく、出産育児とキャリアの両立は簡単ではない為、就職した女性が子育て時期に離職する現状が多くあります。また、勤務時間に加えて自宅での子育ても労働と考えると、一番労働時間が長いのは、子育て時期の女性医師でもあります。医師の長時間労働が非常に問題となり、医師にも働き方改革が必要だと考えました。長時間労働を防ぐために「地域医療の継続性」と「医療人の健康への配慮」の両立をし、両者のバランスが取れているか常に振り返ることが重要となってきます。医師の労働時間短縮に向けての取り組みとして6つの提言をしています。①患者安全 ②医師の健康 ③業務の見直し ④タスクシェア ⑤女性医師等に対する支援 ⑥36協定等の自己点検 があります。日本人男性の労働人口は減少するという試算もあり、男性だけが働くモデルでは絶対的人で不足になるため、今後は誰もが重要なメンバーとして働くことが必要となってきます。必要な支援として、復帰しやすい職場とは:5人のチームの5人目ではなく6人目として現場復帰できるポジションがあること→従来の定員外の増員としての「女性支援枠(現在キャリア支援枠)」の設立がされました。キャリア支援制度を確立したことにより、キャリア支援枠の運用(働く時間をオーダーメイドで決められる、復帰後も柔軟に勤務時間を調整できる、コーディネーターがキャリアの相談に乗る等)やその他にも病児保育室運営、一時託児運営、夜間保育等、働く女性医療従事者の支援を行っているとのことでした。

研修会を終えて

 生まれてきた子供が医療的ケア児の場合や体調不良で子供が病気になった際は仕事を休まざるをえない状況である保護者が多いということが分かりました。保護者のケアをすると共に子供に必要な支援を考え、保育士・看護師・医師等の働き方改革を進めていくことはとても大変だと感じました。
 支援を提供する側の場所や取り組み・支援内容をより多くの人に周知してもらえるよう、私たち病児保育室でも様々な研修に参加し少しでも知識を深めていけたらと思います。
 最後になりましたが、研修会開催にあたりご協力していただきました皆様に深くお礼申し上げます。
 岡山県病児保育協議会 事務局 国橋

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