第16回 岡山県病児保育協議会研修会報告

要綱

 令和3年11月7日(日)に「第16回 岡山県病児保育協議会研修会」を、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止の対策として、会場開催及びWeb配信を行うハイブリット形式で開催いたしましたので報告させていただきます。

日時

令和3年11月7日(日)13:00より

場所

あいの里クリニック2階

主催

岡山県病児保育協議会

共催

岡山大学病院ダイバーシティ推進センター

講演内容

特別講演:子どもと新型コロナウイルス感染症

講師:中野 貴司先生(川崎医科大学 小児科学 教授)

特別講演では、新型コロナウイルス感染症について、発生から研修会の行われた令和三年十一月までの変遷や、それに伴う子どもへの影響、ワクチン接種による予防効果についてお話していただきました。
新型コロナウイルスについて、厚生労働省は令和二年一月にホームページにて正式に発表をしましたが、当時は不明点が多く、現在とは異なる情報も含まれています。発生当時は子どもの発症例は少なく、重症化する頻度も低いと考えられていました。しかし、感染力の強い変異株が出始めたことにより各年齢層に感染者が増え、特に基礎疾患のある子どもは重症化するリスクも高いようです。その他にも、新型コロナウイルス罹患後に、川崎病に類似した症状が現れる「MIS-C(小児多系統炎症性症候群)」の報告もあり、小児の場合は罹患後二週間から六週間は経過を観察しておくことが望ましいとのことです。
また、新型コロナウイルスによる影響で、日常には大きな変化がありました。感染防止のため、乳児健診や予防接種といった福祉活動が滞ったことや、学校閉鎖が行われました。屋外活動や社会的交流が減少し、自宅で過ごす時間が増えることでストレスが高まり、家庭内暴力や虐待のリスクが増すことも危惧されます。これらのことから、子どもに関しては新型コロナウイルスの直接の影響よりも、関連する健康被害の方が大きくなることが予想され、そうならないための仕組み作り等が必要になると感じました。
新型コロナウイルスのワクチンについてもお話がありました。ワクチンにはmRNAワクチンとウイルスベクターワクチンの二種類があり、どちらも、変異株に対しても高い有効性が報告されています。子どもへの接種については様々な判断がされることと思いますが、ワクチンのメリットとデメリットについて本人及び保護者が十分に理解した上で行うことが望ましいと思います。分からないことについては納得出来るまで情報を得られる社会で在れたらいいと思いました。

シンポジウム:新型コロナ禍のまん延時における病児保育の課題と役割

シンポジスト
・保坂 泰介先生(保坂小児クリニック 病児保育室くるみ 医師)
・松尾 直光先生(河原内科松尾小児科クリニック 子どもデイケアルームさくら 院長)
・太田 哲生先生(社会福祉法人東光会おおふくこども園 園長)
・片岡 仁美先生(岡山大学病院ダイバーシティ推進センター 教授)

シンポジウムでは「新型コロナ禍のまん延時における病児保育の役割と課題」と題しまして、保坂先生より大阪府枚方市の病児保育施設について、松尾先生より津山市の病児保育施設について、太田先生より保育園、幼稚園、子ども園について、片岡先生より大学病院内の病児保育についてお話がありました。ディスカッションには特別講演を行った中野先生もご参加くださり、より具体的で専門的なお話を聞けたように思います。
病児保育施設はコロナ禍では利用児が減少傾向となり、特に緊急事態宣言が実施されていた期間は大幅な減少が見られたとのことです。運営は新型コロナウイルスに対する感染対策の下で行われ、マスクやゴーグルの使用、こまめな換気や消毒等様々な対応が必要となりました。受け入れ時には抗原検査を導入する等、安全を確保しての運営がどこまで可能でどのように対応していくかは今後の課題となりそうです。また、子ども園でも感染対策は必須となっており、それに加え、通常の保育並びに保護者からの要望への対応も求められています。今後はこれら全てが日常と化すことも踏まえ、緊急の対応ではなく業務形態として確立させる必要があるかもしれません。
病児保育施設やこども園の運営には行政との情報共有も必要であり、連携を取っていくことも大切です。また、今後の子どもへのワクチン接種についてもお話がありましたが、まだ接種が始まったばかりということもあり十分な研究は出来ていないことや、最終的にはそれぞれの国による判断となるため、どう進められていくかは見通しが立たないとのことでした。今後の情報に合わせて対応していく必要があるようです。

研修会を終えて

今回の研修会では、新型コロナウイルスについての基本情報や今後予測される子どもへの影響、及び対応の必要性について考える機会となったと思います。新型コロナウイルス流行による社会への影響は大きく、取り分け子どもたちへの影響の主な点は、感染のリスクよりも保育や福祉、教育の場が滞ることによるものではないかというお話があり、大変興味深く聞かせていただきました。現在は大規模な一斉休校や登園自粛はほとんど行われてはいませんが、新型コロナウイルスへの罹患、あるいは罹患の可能性がある場合は自宅待機を余儀なくされることもあります。家庭内での様子も気にかけて対応していくことが大切であると思いました。
新型コロナウイルスは現在も変異を続け、感染力がますます強くなっています。今後も引き続き感染への対策が求められることとなるでしょう。新型コロナウイルスとどう共存していくか、皆様の考えるきっかけになれるよう引き続き研修会を検討して参ります。
最後になりましたが、研修会開催にあたりご協力いただきました皆様に深くお礼申し上げます。

山陽ちびっこ療育園 保育士 浅野

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