第17回 岡山県病児保育協議会研修会報告

要綱

 令和4年7月31日(日)に「第17回 岡山県病児保育協議会研修会」を、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止の対策として、会場開催及びWeb配信を行うハイブリット形式で開催いたしましたので報告させていただきます。

日時

令和4年7月31日(日)13:20~16:45

場所

岡山大学病院 地域医療人材育成センターおかやま MUSCAT CUBE(3階)

主催

岡山県病児保育協議会

共催

岡山大学病院ダイバーシティ推進センター

講演内容

テーマ:新型コロナ禍における子ども支援について

特別講演:新型コロナ禍における岡山県の子育て支援施策について

講師: 金平 陽子 先生 (岡山県 保健福祉部 子ども未来課 課長)

岡山県の感染状況や感染防止、保育所等に係る感染予防と支援施策、子ども・子育て支援新制度と病児保育の3題の取り組みについて、詳細資料を基にお話していただきました。

ワクチン接種体制のお話では、ワクチン3、4回目の接種状況は、全年齢で61.35%ということでした。ワクチン接種体制カレンダーの発信の他、県民に向けたリーフレットやチラシがあり、活用しながらマスクコードや手洗い、換気について周知し取り組んでいることを説明していただきました。

子ども・子育て支援新制度が開始され、待機児童解消の取り組み、子どもや子育ての支援事業拡充の話をしていただき、子育て支援や保育の質について改めて考える良い機会となりました。

 病児保育の取り組みとしては、「働くおとうさん・おかあさん応援事業」も県独自制度として行っていることを学び、病児保育施設で働く保育士としても多様なニーズに合わせつつも多くの方に安心して利用していただけるように子育て支援に繋げていけたらと思います。

特別講演: 子育て支援としての総社市の病児保育の成り立ちとコロナ禍での取り組み

講師: 三宅 真砂子 先生 (三宅内科小児科医院 小児科医)
    國府 司津子 先生 (病児保育「ほっとチュッピー」 看護師)
    寺尾 里枝  先生 (病児保育「ほっとチュッピー」 保育士)
    芳野 沙伎  先生 (病児保育「ほっとチュッピー」 保育士)

 総社市の病児保育の取り組みや連携についてお話していただきました。特定非営利活動法人保育サポート「あい・あい」と連携をとっており、保育サポートは総社市より、預かり型と訪問型の病児保育の委託を受けていることを教えていただきました。サポートドクターも対応しており、市内の4人の小児科に依頼していることや協力医院も40施設あることや病児保育室運営会議を年に2回実施していることを知りました。 就労支援だけではなく、育児知識不足や情報過多の保護者、育児不安などのある保護者を支援する病児保育施設は必要な存在という言葉にとても共感いたしました。

 総社市の保育サポートが充実している話を伺い、安心して病児保育を利用していただくうえで、サポート支援の必要性の大切さについて学ぶ点が多くありました。

特別講演: コロナ禍における病児保育の推移

講師:荻田 聡子 先生 (川崎医科大学 小児科学 講師)

コロナ禍における病児保育の利用人数の推移について、お話ししていただきました。

コロナ禍での病児保育利用の激減の理由として①リモートワークが増えた為、子どもが体調不良になった場合でも家庭内での療養が可能になったこと②小学校や保育園等が休校、休園になり子ども同士の接触が減り感染症の伝播が抑えられたこと③マスク手洗いを徹底したこと④病院に通院すると感染のリスクがある為、通院を控えるようになったこと等を考察していただきました。病児保育で働く保育士として病児保育の利用が減った理由として、とても納得できる理由だと勉強になりました。

かわさきキッズルームでは、他児との接触を避ける為に、発熱の有無に関わらず隔離室を使用しており、外来からの受け入れ基準も明確にしているとのお話がありました。子どもや保育士の安全を守る為にもできる限りの対策を行い、基準を設けることの重要性を学ぶことができました。

教育講演: 岡山市の待機児童対策及び病児保育事業について

講師: 山崎 桂司 先生  (岡山市 岡山っ子育成局 保育・幼児教育部 保育・幼児教育課長)

岡山市の待機児童の現状と対策や病児保育事業の取り組みについて分かりやすくお話していただきました。 岡山市の待機児童は全国ワースト2位という深刻な状況の中、待機児童の定義の見直しを行い、また岡山市の対策として保育施設に補助金の支援や保育士の処遇改善、離職防止の為に保育士の相談を行うことで保育士の確保もできているとお話いただきました。このようなことから、岡山市の対策により待機児童は解消されつつあるとのことです。

 病児保育については、国の補助金制度に沿って、岡山市も制度が大きく動いており、利用人数関係なく補助される事業費と利用人数によって補助される加算分があり、病児保育の補助金の拡充を行っているとのことです。

 岡山市全体で、待機児童問題や保育士不足、病児保育事業を全体的にバックアップしていることを知り、多様なニーズに合わせ応えられるように取り組んでいることを知ることができました。

教育講演:岡山市における児童虐待の状況や支援の現状について

講師: 服部 洋子 先生  (岡山市 岡山っ子育成局 子育て支援部 こども福祉課 社会的養育推進係長)

児童虐待の現状や支援、予防・再発防止について詳しくお話していただきました。

子どもの虐待の現状は、全国的にも増えており、中でも心理虐待が全国では最も多いとのことです。岡山市でも年間で子どもの虐待相談・通告は増加傾向にあります。令和3年度の児童相談所の件数は約980件にものぼり、岡山市の特徴としては、ネグレクトの割合が最も多いとのことです。

子どもの虐待の発見から支援まで、再発防止と予防に向けて大切なことは、子どもや親が発するサインをキャッチすることや何気ない声かけでサポートをすることだと教えていただきました。

 近年のテレビ報道でも虐待について取り上げられることも多くなっています。児童相談所や地域子どもセンターに連絡する方法があり、また相談する場所に困った際は、189(いちはやく)を押すと一番近くの相談所へ繋ぐことができるそうです。社会全体で、虐待予防や子育て家庭の支援をしていくことの大切さを感じました。

研修会を終えて

今回の研修会では、岡山県や岡山市の様々な支援や取り組み、病児保育室のコロナ禍の取り組みについて知ることができ、とても勉強になりました。一つ一つの講演で、具体的なお話を取り上げていただきこれからのことを考える大変貴重な研修会となりました。今後も岡山県や岡山市、様々な病児施設から得た情報を周知したり共有したり、現場で活かしたりしていきたいと思います。

 最後になりましたが、研修会開催にあたりご協力していただきました皆様に深くお礼申し上げます。

山陽ちびっこ療育園 保育士 富野

コメントは受け付けていません。

トラックバック URL

http://www.aoki-ainosato.or.jp/byouji/info/%e7%ac%ac17%e5%9b%9e%e3%80%80%e5%b2%a1%e5%b1%b1%e7%9c%8c%e7%97%85%e5%85%90%e4%bf%9d%e8%82%b2%e5%8d%94%e8%ad%b0%e4%bc%9a%e7%a0%94%e4%bf%ae%e4%bc%9a%e5%a0%b1%e5%91%8a/trackback/

PAGE TOP