第11回岡山県病児保育協議会研修会報告

平成29年11月19日(日)に岡山県医師会館にて「第11回岡山県病児保育協議会研修会」を開催しましたので、報告させて頂きます。

 

要綱

日時

平成29年11月19日(日)

場所

岡山県医師会館(新館)4F

主催

岡山県病児保育協議会

 

講演内容

特別講演:『保育分野の現状と取組について~病児保育を中心に~』

講師:香取 徹先生(厚生労働省子ども家庭局保育課 課長補佐)

保育事業の様々な取り組みや現状について詳細な資料を用意して頂き分かりやすくお話ししていただきました。
保育所利用児童は全国的に増えており、それに伴い待機児童は2万6千人と三年連続で増加しているとの事です。待機児童解消に向けて保育所を増設しているにも関わらず、潜在ニーズが掘り起こされている事や、また政府の取り組みにより女性の就業力の上昇に伴い保育所の利用率も上がっていることも待機児童増加の要因としてあるそうです。岡山市については待機児童が全国で2番目に多く、潜在ニーズの見込みと待機児童の受け皿を整備することが課題としてあげられていました。
全国的には特に1,2歳児の利用率が最も多いため1,2歳児の受け皿を整備していく事、また保育士不足の解消の為には賃金の問題、研修の実施等の処遇改善を進めていく方針との事です。
病児保育については子ども、子育て支援新制度により対象児童の拡大や職員配置の緩和、補助単価も改善されてきており、今後も病児保育事業の安定運営に向けての取り組みを進めていく方針とのお話を伺えとても心強く感じました。各施設の運営が安定し、より充実した支援が行えるようになればと思います。

 

 

シンポジウム:『各々の視点からの病児保育の役割と課題~県・市町村・病児施設・利用者の立場より~』

①柴田 義朗先生(岡山県保健福祉部子ども未来課長)

○岡山県における病児保育事業 広域相互利用の概要

岡山県が主導し県内17市町村で病児保育施設相互利用の協定が締結され、平成29年4月より実施されていますが、病児保育事業に関する市町村の課題やニーズ等の考察から協定締結に至るまでの経緯についてお話ししていただきました。
H29年4月~9月までの広域相互利用者の数は全体の利用数の約8パーセントと少しずつ効果が出ているとの報告を伺い、制度が生かされてきている事を実感いたしました。

 

 

 

②疋田 洋一先生(岡山市岡山っ子育成局保育・幼児教育課 課長)

○岡山市における病児保育の状況について

岡山市では子ども子育て支援プランを策定し仕事と子育ての両立のための基盤整備を進められており、その現状と課題についてお話していただきました。病児保育施設については市内に6カ所ありますが、広域相互利用が始まった事と実施施設が増えたことで利用人数が増加しており、病児保育の潜在ニーズも掘り起こされているとの事です。
今後は補助金や地域の状況を検証し新たなニーズに対応できる体制について考えていかれると事でした。

 

 

 

③松尾 直光先生(河原内科松尾小児科クリニック こどもデイケアルームさくら 院長)

○『岡山県北部の病児保育室より』

病児保育施設『さくら』の紹介を含め病児保育の現状と課題についてお話ししていただきました。
『さくら』は平成14年に開設され(最初は定員2名からスタートし現在では定員6名)、
現在、津山市及び津山市周辺の市町村を含め年間1000名に及ぶ病児の利用があり、その中の約1割は主に久米南町、鏡野町からの広域利用との事です。
また、医療ケアの児の受け入れもされており、今後より受け入れがしやすいように行政から支援の必要性についても訴えられていました。

 

 

 

④杉本 節子先生(伊部保育園 病児・病後児保育室 園長)

○『保育園での病児・病後児保育』

平成29年5月より備前市伊部保育園にて病児・病後児保育室を開設されましたが、開設に至るまでの経緯と開設後の受け入れ状況についてお話ししていただきました。

保育園併設型で近隣の小児科医院(園医)と連携のもと受け入れを行い、保育園での利点を生かした病児・病後児保育の支援に取り組まれているとの事です。利用児や保護者の対応において細やかな配慮に努められており学ぶ点が多くありました。

 

 

 

⑤病児利用者

○育児と仕事が両立している生活

自らも病児保育室に勤務しながら育児をされておられ、『病児保育スタッフ』と『病児保育を利用する保護者』の両方の立場から病児保育について考察されていました。今後、病児・病後児保育の支援を行っていく上でとても参考になるお話しでした。

 

 

 

 

 

 

研修を終えて

今回は普段なかなかお話しを伺うことが少ない国、県や市の施策について細かく知る機会が出来たことや、併せて病児保育施設や保護者の立場からの報告も交え総合的に病児・病後児保育を捉えることができ大変貴重な研修会となりました。今後も一体的な取り組みの中で各々の役割を高めていければと考えています。
最後になりましたが、研修会開催にあたりご協力していただきました皆様に深くお礼申し上げます。

 

山陽ちびっこ療育園 保育士 山根

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